アラフィフで不安に飲み込まれそうなときに|考えすぎる心を整える心理学的ヒント

こころと身体を整える

前回の記事
ターニングポイント〜人生の転機を軽やかに乗り越えるヒント」では、
人生の転機や悩みの時期には、実は大きなチャンスが潜んでいること。

そして物事を一つの見方にとらわれず、
さまざまな視点から捉えることの大切さについてお伝えしました。

アラフィフは、仕事や家族の変化、体調の変化、将来への意識の変化などが、少しずつ重なりやすい時期です。

「これから先どうなるんだろう」と考える場面が増え、不安を感じやすくなるのも自然なことだといえます。

とはいえ、悩みや不安に直面すると、
「冷静になったほうがいい」
と頭では分かっていても、不安なことばかり考えてしまい、
気持ちが堂々巡りになることはありませんか?

こんにちは。つきりんです。

私自身も、不安な出来事があると、頭を切り替えたいと思いながらも、
同じことを何度も考えてしまい、モヤモヤした気持ちを抱えることがあります。

そんなとき、心を整える助けになるのが、
意識的に気分を切り替える時間をつくることです。

本記事では、公認心理師としての視点と私自身の体験をもとに、
アラフィフ世代で悩みや不安に直面したときに心を落ち着かせる考え方として、
「没頭できる気分転換のヒント」をご紹介します。

この記事でわかること
  • なぜアラフィフになると、不安が強くなりやすいのか
  • 不安なときに「考えすぎてしまう」理由
  • 心を整えるための、没頭できる気分転換の考え方と具体例

⚠️この記事は、公認心理師としての知識と私自身の体験をもとに情報提供を目的としたものであり、専門的な医療や治療を提供するものではありません心身の不調を感じる場合は、必ず医師や専門家にご相談ください

※つきりんに関する略歴や活動の情報は「運営者情報ページ」をご参照ください。

なぜアラフィフは不安なときに考えすぎてしまうのか

強い不安やストレスを感じているとき、
人は心理学的に「脅威に対処し続けている状態(追われている状態)
になりやすいといわれています。

この状態では、脳は生存を優先するため、
コルチゾール(ストレスを感じたときに分泌されるホルモン)の分泌が
高まりやすくなります。

その結果、

  • ストレスホルモンの分泌が増え、疲れやすくなる
  • 脳の機能も低下し、ミスや判断力の低下につながる
  • 自分を責めやすくなり、自己肯定感が下がる
  • やる気が起きず、イライラや疲労感に悩まされる

といった変化が起こることが示唆されています。(参考:川原教授厚生労働省

→この「追われている状態」については、
「忙しい毎日をスムーズに!タイムマネジメントで心に余裕を作る5つの方法」
で詳しく解説しています。

この状態が続くと、

「考えようとしているのに、考えがまとまらない」

「答えを出そうとするほど苦しくなる」

という悪循環に陥りやすくなります。

不安のループを断ち切る「気分転換」の心理学

このような悪循環を断ち切るために有効だと考えられているのが、
一時的に注意の向きを変える気分転換です。

心理学では、注意や意識の向きが変わること(注意の転換)によって、
脳の過剰な緊張状態がゆるみ、回復モードに切り替わりやすくなると考えられています。(注意制御理論:Eysenck et al., 2007)

環境を変えたり、別の活動に集中することで、

  • ネガティブ思考のループが一時的に中断される
  • 脳に「安全だ」という信号が入りやすくなる
  • 思考の柔軟性が回復しやすくなる

といった変化が起こります。

その結果、
「思考を無理に止める」のではなく、
「自然と別の視点が浮かぶ状態」が生まれやすくなるのです。

没頭すると、なぜ心が静かになるのか

心理学では、何かに集中して取り組む状態を
「フロー状態」(時間を忘れて自然に集中している状態)と呼びます。(フロー理論:Mihaly Csikszentmihalyi, 1990

この状態では、

  • 不安や雑念が一時的に弱まる
  • 注意が「今ここ」に向かう
  • 心身がリラックスしやすくなる

ことが示唆されています。

また、注意が「悩み」から離れ、
適度に集中した活動へ向かうことで、
脳の過剰な反すう思考(同じ不安を繰り返す状態)が弱まり、
思考の柔軟性が回復しやすくなるとも考えられています。(反すう思考に関する研究:Nolen-Hoesksema, 2000)。

私自身、不安や悩みで頭がいっぱいになっている時ほど、
「何とかしなきゃ」と思いながら、
同じ考えをぐるぐる繰り返してしまうことがありました。

けれど、ウォーキングに出かけたり、料理に集中したりすると、いつの間にか悩みそのものから意識が離れ、気づいた頃には、心が少し軽くなっているのです。

それだけでなく、しばらくすると、
「そういえば、あれを試してみてもいいかもしれない」
「この考え方なら、少し楽かも」
といった新しい視点やアイデアが、自然と浮かんでくることに気づきました。

アラフィフ世代におすすめの「没頭できる気分転換」

ここで、私や周りのカウンセラー仲間が実践している没頭方法をご紹介します。

①スポーツ

ウォーキングやゴルフ、自然の中でのハイキングなど。

身体を動かしながら景色を眺めていると、次第に思考が整理され、気持ちが軽くなる感覚があります。

②サウナ

私はよくサウナに行きます。熱さや呼吸に意識を向けることで、自然と「今ここ」に集中できます。

終わった後の爽快感は、心と身体のリセット感につながります。

③料理

義務ではなく、創造として料理を楽しむ時間。

味付けや組み合わせに集中していると、無心になれる感覚があります。

④陶芸

カウンセラー仲間が実践している方法。

土の感触に意識を向けることで、心身が整う感覚を得られるそうです。

⑤アクセサリー作り

別のカウンセラー仲間が実践している方法。

細かな作業に集中することで没入しやすく、完成したときの達成感が心の回復につながるそうです。

※すべてを試す必要はありません。体調や状況に合わせて、できそうなものから取り入れてみてください。皆さんの没頭方法のレパートリーを広げる参考にしてみてくださいね。

まとめ|答えを出せないときほど、心を休ませる

悩みや不安に直面したとき、無理に答えを出そうとし続けると、脳は疲れ切ってしまいます。

そんなときこそ、意識的に「脳を休ませる時間」をつくることが、
心のバランスを取り戻す助けになります。

没頭できる時間は、思考を止めるためではなく、
思考が自然に回復する余白をつくる時間です。

自分に合った方法をいくつか持っておくことで、変化の多い時期も、少しずつしなやかに乗り越えていけるはずです。

まずは5分だけでも「これならできそう」と思える没頭を選んでみてください。

この記事が、悩みや不安と向き合う際の一つの考え方として、皆さんの日常にそっと役立てば幸いです。

参考にした研究・公的情報

  • 日本産婦人科医会「ストレスホルモン」
    公式サイトを読む
  • 東邦大学神経科学研究室 「ストレスと脳」
    公式サイトを読む
  • Yuxiang Sun, Junpeng Xu, Xiaogue Zheng, Chungui Li, Dingshebg Kong, Qijia Wu, Zihao Zhu, Shiyu Feng, Yanyang Zhang.「The impact of prolonged high-concentration cortisol exposure on cognitive function and risk factors: Evidence from Cushing’s disease patients」
    論文を読む
  • 甲 斐 裕 子、永 松 俊 哉、志 和 忠 志、杉 本 正 子、小 松 優 紀、須 山 靖 男、「職業性ストレスに着目した余暇身体活動と抑うつの 関連性についての検討」
    論文を読む
  • Nolen-Hoeksema, S.(2000) The role of rumination in depressive disorders and mixed anxiety/depressive symptoms. Journal of AbnormalPsychology, 109 504-511
  • 伊藤拓、竹中晃二、上里一郎、「反応、スタイル理論 (ResponseS句rlesTheory) の研究動向と課題」
    論文を読む

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